かもしか通信

スタッフ日記

レトリック


みなさん、こんにちは!
長野県塩尻市
鴨居歯科医院・鴨居インプラント審美サロン
歯科技工士の片原 治です。

言葉は話す、書くなどの行為をすることによって情報、意思の伝達となりうる意味を成すもので、心、気持ち、思い、考えを表す手段の一つです。人を喜ばせたり、元気付けたり、楽にしてあげたり、一方では凶器と化してしまったり、捉え方や話し方、伝え方を間違えばトリック(ごまかし)にもなり、大変扱いの難しいものではないかと思います。

西洋には、2300年以上にも及ぶ「聴衆を説得する技術」としてレトリック(言語表現の技)の伝統があります。レトリックとは聴衆の心理操作が大きな位置を占め、さらにより演説を魅力的に見せるために、身振りや発声法(声の大きさ、テンポ、声の抑揚)なども重視されます。

100年に一度と言われている世界的金融危機の最中、世界中からの期待を背負い1月20日第44代目アメリカ合衆国バラク・オバマ大統領が誕生しました。オバマ大統領はまれに見るスピーチの名手と評されています。僕が初めて聴いたのは2004年基調演説のニュースでしたが、躍動感と迫力、obamomentum(オバマの勢い)を感じました。就任演説もTVで見ていましたが、スピーチを非常に感動的なものにするオバマ流レトリックには、3つの大きな特徴があると言えます。

第一に挙げられるのは、「実演」と呼ぶテクニックです。これは話している内容の証明として話し手自身が機能するような技巧を指します。
2004年基調演説では次のように述べています。
…there is not a liberal America and a conservative America―there is the United States of America. There is not a Black America and a White America and Latino America and Asian America―there is the United States of America.(リベラルなアメリカも保守的なアメリカもありはしない-あるのはアメリカ合衆国なのだと。黒人のアメリカも白人のアメリカもラテン系のアメリカもアジア系のアメリカもありはしない-あるのはアメリカ合衆国なのだと。)

次に挙げられるのは、「再現」の多用です。同じ構造の文を繰り返すことで、リズムを整え、聴衆に内容を理解しやすくする効果があります。
2008年3月4日予備選の演説では、次のように締めくくっています。
‘What will they see? What will we tell them? What will we show them?’(世界は何を見るでしょう。我々は世界に何を伝えるでしょう。我々は何を示すでしょう。)
-中略-
‘We say, we hope, we believe, yes we can!’(我々はこう言います。こう願います。こう信じます。我々ならできると。)
勝利演説では次のように述べています。
…above all, I will never forget who this victory truly belongs to you. It belongs to you. It belongs to you.(他の何をさしおいても、この勝利が本当は誰のためのものなのかを、私は決して忘れません。この勝利は、あなた方のためのものです。あなた方のためのものなのです。)

最後に挙げるのは、「イデオグラフ」と呼ぶテクニックです。これは憶えやすくインパクトのある言葉やフレーズを、政治的スローガンとして用いる技巧です。 ‘hope’や‘change’などシンプルなスローガンを繰り返しつつ、自分のビジョンや具体的な政策をスピーチで提示するという戦略を取っています。

さらに、オバマ流レトリックはスピーチだけでなく、White houseの公式ウェブサイトにも表れています。就任演説後に一新され、新政権の時代の到来を印象付けました。重視されているポイントは3つで、Communication(対話のある政治)、Transparency(透明性のある政治)、Participation(参加性)をブログの中で述べられています。【Contact Us】から大統領やスタッフに500単語以内でメッセージを送信することができます。アメリカ史上最も開かれた政権作りに取り組む方針が明記されています。就任演説後は殺到してかアクセスできませんでしたが、世界中から多くのメッセージが寄せられていることでしょう。それぞれのメッセージが一つになることを期待しています。

‘Out of many, one. We are one.’
(多数からひとつへ。私たちはひとつである。)
【勝利演説より】

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