夜咄茶事
みなさん、こんにちは!
長野県塩尻市の歯科医、鴨居歯科医院
鴨居インプラント審美サロン
院長の鴨居弘樹です。
落葉で敷き詰められた散歩道は色取り取りで絨毯模様となり、歩くにも靴裏に優しく気持ち良く伝わってきます。
11月21日(日)は 天候に恵まれ小春日和の休日となり秋の探索を楽しんだ事と思います。
この日は5時から「茶事」が無量寺で行われ参加しました。
「茶事」とは茶の湯において食事(壊石)を伴った正式な客のおもてなしをいうのです。
季節の道具を使って壊石料理、濃茶、薄茶の席を設けて、主客の交わりを楽しみ、心の修養を志すのが趣旨となります。
日ごろの稽古しているのはこの「茶事」の部分稽古をしているのであって仕上げは茶事を執り行うことにあります。
亭主となられた青山俊董先生はこの茶事を催すにあたって、多用の日々の中、茶室の内外を整え、道具の選択、壊石料理の吟味、茶、花、菓子まで細部にわたり心遣いをし、庭の手入れ露地の整備などあらゆる点に心を配りお客さんをもてなす準備をされました。
今回は4日間に渡り、昼、夜の茶事が計画され、私はこの日の夜の部に習い事の担伝者4名を含め、10人で参加し、お詰役が与えられました。
5時20分前には全員が揃い茶室までの道のりは打ち水もしてあり、手入れされたところを通って玄関に入ります。
玄関先には「善き友をもち、よき仲間と共にあることは 聖なる道の全てである」と佐久間顕一氏の合掌童子と共に書かれた扇子が飾ってありました。
寄付には「松風一椀中」が飾られてありここで席入りの準備をし、白湯を頂き外の露地で待っていると夜空に満月が輝き風情は一段と増しました。
お迎えを受けて小間に入るとそこのお軸は「天随」とあり、見事なお道具が用意され、美味しいお菓子を頂いて俊董先生の自ら点てたお濃茶を頂きました。
こうした機会でないと師のお点前をじっくり拝見する事がなく間近にみられて大変勉強になりました。
お軸の解説からお道具の説明まで学ぶ事がたくさんあります。めったに触る事の出来ない茶碗で飲むお濃茶は一味違います。
日本の文化の集大成というべき茶の湯は奥が深く精神の訓練、人の生き方、あり方まで俊董先生のお言葉から学べます、まさに謦咳に接する小間でした。
小間を出て再び露地を通り別の部屋に移りそこで懐石料理を頂きました。
そこは小間とは違った広間であり、一段と趣が異なり、見事な道具立てでありお軸は「寶樹多華果」が飾られていました。
茶事の楽しみは懐石ですがそのルールは複雑で一年に一度位の茶事では覚えられませんが俊董先生の解説指導を聴きながら手の入った美味しい料理が次々と出され、本物の懐石料理を頂きました。
残念な事はお酒が飲めなく日本酒に変わって、お茶気が注がれて本物の「酒三献」が楽しめないことです。
それにしても汁、飯、煮物、焼き物、強肴、吸い物、八寸と次々と出されて来る料理のこった手作りに感動します。
懐石料理の後はお薄を頂き露地を再び返るのですがそこには夜もふけて手燭を持ち露地行灯に導かれて帰る情緒はまた格別です。
細かな点は書き尽くせませんが、こうしたお茶事を催して下さる俊董先生に本当に感謝します。ありがとうございました。
俊董先生でなければこのような本格的な茶事はできませんし、「禅」をしっかり身につけておられる先生ですから「茶禅一味」そのものであり「一期一会」と茶の心を見事に表現されて多くの弟子に教えて下さいます。
今後も更なる精進をし、茶の道を知り歯科医療の中に生かして行きたいと思います。
5時間に渡る時を忘れ悠久の一時は至福の時間でした。
俊董先生はじめ無量寺の茶道部の皆さんに感謝しています。ありがとう。