かもしか通信

院長日記

雨の野良着茶会


みなさん、こんにちは!
長野県塩尻市の歯科医、鴨居歯科医院
鴨居インプラント審美サロン
院長の鴨居弘樹です。

初夏を思わせる好天候から梅雨を知らせる如く激しい雨が窓を打っています。
5月23日(日)は天気予報が当たらないようにとの願いも空しく朝から雨が降り出し、予報通りに雨足が激しくなった一日でした。
雨が降らないように願ったのは、この日は朝から毎年開催される無量寺での「野良着茶会」が催されたからです。特に今年の茶会に用意された茶席3席は、それぞれの思いが込められて準備されたものだったからです。

「閑雲亭」は青山俊董先生の喜寿のお祝いのテーマにそって道具が設けられていました。
席に掛けられたお軸には「福聚海無量」と書かれたもので、このお寺が“福聚山無量寺”と言われるはこの言葉にあった事を示されていました。
5才から叔母の周山尼に無量寺で育てられ、7才頃からお茶のお稽古を初め、稽古に用いられた周山尼愛用の黒楽の茶碗を主茶碗とし、銘を「慕古」と名付けていました。120年以上は使いこなしていると言われるだけに趣がありました。
周山尼に感謝報恩の思いを形にし、更に今までの人生を振り返っていろいろな出会いをお席で解説し、お軸の解説からそれぞれの由緒ある道具から、茶の歴史、仏教の話、人生の生き方等をお話して下さいました。

いつも思うのは、あの明唽な頭脳、記憶力、文書力と感情豊かな笑顔、行動力とてもとても真似の出来る人でないですが、何とか後を追う事が出来たらと目標にしているのです。
これからも末永く御指導して頂きたいし、健康に留意して長生きして多くの人の生きる指針を示して頂きたいと思っています。

「松籟軒」は毎年立札席で、午前中は男性のみなさんで担当してきましたが、今年度は男性のみでなく、女性の方々も加わり、一日行われました。
この席のテーマは「陶芸家 篠田義一先生を偲んで」と言う事なので、道具はほとんど篠田義一先生の作品が多く用いられていました。
今年1月、不慮の事故にて逝去された篠田先生と俊董先生とは茶の湯の兄弟弟子でもあり長いお付き合いなので、篠田先生の創作されたものが沢山保有されています。
掛軸は「好夢」と偲ぶ席に相応しい余語翠巌老師の書が掲げられ、主茶碗は今年米寿を迎えるに当たりその記念にと意欲をもって造られた金箔の上に大胆にアザミが描かれたお茶碗で、銘を「雲津」と名付けられていました。
松籟軒においてお点前をさせて頂きましたが後見人として席の説明を2度させて頂きました。
大変勉強になり、まだまだこれから学習すべき点が沢山ある事を思い知らされました。

「野天席」は本来は屋外で、今が一番良い藤棚の下で開催されるように準備されてきましたが、雨になり急遽本堂に設置され、それなりの風情の下で行われました。
テーマは前日の除幕式が行われた青山俊董先生が平成元年に勅題『晴』に詠まれた「その中にありとも知らず、晴れ渡る空にいだかれ雲の遊べる」と歌碑に刻んだことを記念にしたお席でした。手塚満寿美さんが先生に託した思いを実現したものです。
午前中は田川高校の茶道部、午後は彌勒寺の茶道部が担当し佐久間顕一書の合童子の短冊が掛けられ、加藤錦三作の珍しい黒織部の茶碗が主茶碗となり、銘を「陽光」と名付けられ「隋流法」の銘の替茶碗はじめ加藤錦三作品のもので全て用いられていました。
先生の解説をお聴きする毎に人生に対する生き方を学ぶ事が沢山あり教えられます。
今回記念にと頂いた「法の華鬘抄一法句経を味わう」もしっかり読んでこれからの生きる道しるべを確立したいと思っています。

「正師を得ざれば学ばざるにしかず」と常に言っておられます。真に我が人生の正師に出会った事と心から感謝しています。

雨が降って更に自然の美しさ、人の美しさを知り、学ぶ事が多かった一日に感謝しています。ありがとうございます。

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