かもしか通信

スタッフ日記

品質と安全


みなさん、こんにちは!
長野県塩尻市
鴨居歯科医院・鴨居インプラント審美サロン
歯科技工士の片原 治です。

いつもスタッフ日記をご覧になって下さる皆さん、
ありがとうございます。

昨日、いよいよバンクーバー冬季五輪が開幕しました。史上初屋内での開会式は、カナダ国旗の楓の葉が炎に見える様な幻想的なものでした。今日は、注目していた競技の一つである女子モーグルがありました。上村愛子選手は惜しくもメダルに届かず4位で、自身の滑りに満足され涙ながらにコメントされていた姿が印象的でしたが大健闘だったと思います。明日からまた日本代表選手の活躍を楽しみにしています。この厳しい寒さを吹き飛ばすぐらいの熱い声援を日本から送りましょう。

ところで、今大会において日本だけでなく世界を代表とする企業が、趣旨に賛同しスポンサーとしてサポートしています。いくつかのスポンサーは製造業であり、高品質・高性能で世界でも認められ、日本経済をも牽引してきた企業です。日本の製造業と言えば、ハイテクと伝統を融合させ『品質と安全』の象徴と言えると思います。

ここのところ日本国内だけでなく世界を騒がせているのは、スポンサーであるトヨタのハイブリッド車新型「プリウス」でブレーキに不具合が発生した問題です。トヨタと言えば、高品質・高性能・安全性で自動車産業界では世界No.1であり、日本経済を牽引してきた企業です。また、新型プリウスはすでに米国など世界約60カ国・地域で30万台以上が販売されており、1月の国内車名別新車販売で8ヶ月連続トップとなり、日本経済回復の牽引役として期待されていたエコカーです。これまで米国ではブレーキが利きにくいとの苦情が多く寄せられており、プリウスだけでなく他の車種も含めかつてない規模のリコール(回収・無償修理)に直面し、死亡事故にもつながったとして、北米では特定の車種が販売停止や製造中止になるなど、トヨタ車のイメージダウンにつながるのは必至で、既に新車販売の落ち込みが顕在化するなど、業績に影響も出始めているのではないかと思います。 

当初トヨタはプリウスの不具合は欠陥ではないとして、自主改修であるサービスキャンペーンも検討したようですが、信頼回復を優先し同様のブレーキシステムが採用されている車種を含めリコールに踏み切りました。消費者から懸念され問題視されているのは、改善策を公表されずに実施され安全性に対する姿勢や、直面しているブレーキ問題への対応策やリコールなど相次ぐ原因について明確な回答がなかったことです。トップ企業として今までにない状況とは言え、これまでのトヨタの対応は危機意識の欠如も見え隠れし、消費者の視点をいささか欠如しているような気がしています。初めて行われた社長会見においては、消費者の不安解消という狙いをどの程度達成できたかは疑問が残ります。『品質と安全』を考え、お客様第一に取り組むことを強く期待します。

先週土曜日には、TBSテレビ「報道特集NEXT」で、有害金属が混入していた『中国製歯科技工物』について特集していました。手軽さと安価さをうたう『中国製歯科技工物』が日本の歯科の現場に浸透しつつあるという問題です。「歯科技工物」とは、患者さんに装着される詰め物、被せ物、入れ歯のことを指します。一昨年ぐらいに中国産農産物に使われている農薬問題や食品偽装問題もあり、日本国内の法律では厳しく制限が加えられている「歯科技工物」の『品質と安全』は確保されているのか疑問でした。

日本では歯科医師と歯科技工士しか歯科技工物を製作してはならないと定められています。多くの場合、国家試験を通った歯科技工士が、歯科医師の指示により厚生労働省が認可したJIS規格の歯科合金を用いて歯科技工物を製作しています。海外には歯科技工士法が適用されないため、資格のない者が日本の規格外の材料で歯科技工物を製作し、それが日本に送られてくる可能性があります。歯科技工物は薬事法の医療機器に入らないために、厳しくチェックを受けることはありません。患者さんに黙って密かに中国製の歯科技工物が使われるのは、日本製の半額から5分の1の安価だからですが、そこにはやはり落とし穴があるのです。見た目は同じでも指示通りでなかったり、日本では規格外の安い材料が使用されているケースもありました。金属アレルギーなど医療が招いた事故であれば、これは重大な問題です。番組独自の検証をしたところ、日本では禁止されている発がん性有害物質が検出された合金を使用している歯科技工所がありました。中国には検出された有害物質の使用に規制がないようです。

患者さんの『生活の質(QOL)』を高めていくために、様々なエビデンスを基に最善の治療と、高度の技術や機器による最善の処置をすることは、医療従事者としての使命です。医療従事者として倫理観の問題にもなりますが、患者さんの健康や安全を第一に考えるのであれば、「歯科技工物」輸入品を国として規制すべきではないかと思います。厚生労働省や国は、過去の薬害や公害問題に対する対応に照らして現場認識が欠如しており、歯科医療の『品質と安全』に対する視点、考察、義務が欠落しているのではないかと思います。

鴨居歯科医院では併設されている技工室で、7人の歯科技工士が製作しています。基本理念の一文に、「患者さんの立場に立って、誠意を持って信頼に応え、感動されるサービスに徹します。」とあります。患者さんのNeedsやWantsを満たし、「生きる力を支える歯科医療」であることをしっかり認識し、『品質と安全』を考え最良の歯科治療を提供していきたいと思います。

〒399-0736 長野県塩尻市大門一番町16-14

0263-52-0118 0263-54-2121

9:00〜17:30(最終17:00)休診:日・祝