かもしか通信

スタッフ日記

流儀


みなさん、こんにちは!
長野県塩尻市
鴨居歯科医院・鴨居インプラント審美サロン
歯科技工士の片原 治です。

北京五輪が終わり、まだ感動と興奮が冷めやらぬ中、先日NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」と言う番組では、北島康介選手・中村礼子選手2人のメダリストを育て上げた平井伯昌競泳コーチが取り上げられていました。今、世界では一躍その手腕が高く評価され、脚光を浴びているようだ。毎回、様々な分野の第一線で活躍している一流のプロを招き、一流の人々と「仕事術」を掘り下げると言うものである。北島選手の前人未踏の2大会連続の2冠達成と言う偉業の裏には、どのような境地であったのか、大変興味がありました。

まず、トップアスリートと言えども、「最終的には精神面で左右されてしまう。」と言うことである。あのブレンダン・ハンセン選手が200m平泳ぎの代表落ちをしてしまったのは、日本での記録会で北島選手がハンセン選手の世界記録に迫る記録を打ち出し、それがプレッシャーとなってしまったと言うことは否定できない。選手には、大舞台になればなる程燃えるタイプと、萎縮してしまい本来の力を発揮できなくなるタイプの2つのタイプがある。北島選手はまさに前者のタイプである。

精神面を鍛えるには、極限まで自分を追い込み乗り越えさせ、猛練習することで自信をつけることである。教え方にも流儀があり、選手を迷わさないように「ワンポイントで伝える」、弱気なことは選手を戸惑わせてしまうため「選手の一歩先を歩く」、「攻めの姿勢を貫く」と言う理念がある。プレーするのは選手ですから、選手個々の性格や心の状態を観察し察知して、いかにしてサポートするか、メッセージ性があるかと言うことは重要です。コーチの一つひとつの決断は重く、時に人生をも左右させてしまうため、大会直前でもダメなところはダメだと覚悟を決めて言うこともあったようだ。これも、選手とコーチがお互いに信頼関係が厚く築かれているからこそである。

アテネ大会では競技後のインタビューで、「チョー気持ちいい!」の名言で印象的だったが、北京大会では顔をタオルで覆ったまま言葉を詰まらせ、振り絞って出てきた「ほんと、金メダル取れてよかったです。」の言葉には、アテネ大会後の苦難との戦い、自分自身との戦いを凝縮しているようなものだった。

世界記録を目標にして北京大会を目指したが、やる気の維持が難しく、05年の世界選手権では200mの代表の座を逃し、06年の日本選手権では表彰台にも上がれず、故障や体調不良に悩まされ、ようやく昨年本来の状態に戻り始めたと言う。勝って当然のプレッシャーにもがき、肉体的にも精神的にも大変な苦労があったと思う。それを支え続けてきた平井コーチの流儀には、メッセージ性を感じ取れました。つまり、目標に向けていかにしてやる気と自信と勇気を持たせるかである。トップに立つ者、指導者、教育者には学ぶ点が多かったのではないかと思う。仮に福田元首相に一言言うとすれば、「あなたには国民へのメッセージがありましたか?」と。

僕は小学生のサッカークラブでコーチをしていますが、「自分たちが考えた答えが、自分たちのものになる。」と言うことを理念として持っています。「Number」と言う雑誌に「トレーニング一つ取っても、スタッフやコーチがいても当然考え方も合わないことがある。速くなるために、他の選手の真似をしているわけでもない。真似をして速くなるものでもない。自分でいろいろ考えてやってきた。」と言う北島選手のコメントがあった。「自分で考えること」は、サッカーだけでなく勉強でも日常生活でも大切である。点の取られ方が悪かった時には、必ずその場面を振り返させ、「どう動けば良かったのか。」「どこにパスをすればよかったのか。」その後の答えは自分たちで考えさせます。自分たちで考えて勝利を獲た時には、必ず自信になるからです。数学で言えば、式の立て方を促すようなものです。最近は、小学校5、6年にもなると学校の授業が分かりにくいと言う子供も少なくない。学力低下と言われているが、教育者の能力低下と言った方がよいのかもしれない。心理学で言えば、実は教育者にとって教えることとは、teachingではなくcoachingではないかと、最近思い始めた。要するに、目的や目標、勝利に向けてできる限り能力、魅力、才能を引き出し、やる気と自信、勇気を持たせることを促すことである。

今年は県選抜チームに3選手を送り出すことができた。これは、チームにとって自信にもなる。指導法は幾通りも考えられ、どれが正しいと言うものはない。まだまだ手探り状態ではあるが、これから子供たちがサッカーを続けていく上で、必要な時に的確な助言ができ、スパイスとして一言言えるような考え方、物事の見方、生き方ができればいいなと思っています。

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